遺産分割協議をして協議書を作る
期限:法律上の期限はありませんが、相続税の特例を使うには10か月以内の分割が原則です
遺言がなければ、誰が何を取得するかは相続人全員の話し合い(遺産分割協議)で決めます。一人でも欠けた協議は無効です。合意した内容は「遺産分割協議書」にまとめ、相続人全員が実印を押します。この1枚が、預貯金の解約・不動産の登記・相続税申告のすべてで使われます。
分け方の3つの方法
| 方法 | 内容 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 現物分割 | 自宅は長男、預金は次男、というように財産をそのまま分ける | 財産の種類が多く、価値の釣り合いが取れるとき |
| 代償分割 | 自宅を長男が取得し、長男が次男に代償金を支払う | 自宅など分けにくい財産があり、取得者に支払い能力があるとき |
| 換価分割 | 不動産を売却し、代金を分ける | 誰も住まない実家がある、公平に分けたいとき(売却益に所得税がかかる点に注意) |
実務では組み合わせることが多く、たとえば「自宅は配偶者が取得し、預金を子が分け、足りない分を代償金で調整する」といった形です。代償金は協議書に必ず明記してください。書かずに支払うと、相続ではなく贈与とみなされて贈与税の問題が生じます。
遺産分割協議書に書くこと
協議書に決まった書式はありませんが、金融機関・法務局・税務署が受け付ける水準で書く必要があります。①亡くなった方の氏名・本籍・最後の住所・死亡日、②相続人全員が協議した旨、③財産ごとに「誰が取得するか」を特定して記載、④協議書作成後に判明した財産の扱い、⑤作成日、⑥相続人全員の住所・氏名の自署と実印の押印、が基本です。
不動産は、登記事項証明書のとおりに「所在・地番・地目・地積」(土地)、「所在・家屋番号・種類・構造・床面積」(建物)を写します。住居表示(○丁目○番○号)で書くと法務局で受理されません。マンションは「一棟の建物の表示」「専有部分の建物の表示」「敷地権の表示」まで必要です。預貯金は「金融機関名・支店名・預金種別・口座番号」で特定します。
相続人全員分の印鑑証明書を添えます。印鑑証明書は板橋区役所・区民事務所(マイナンバーカードがあればコンビニ)で取れます。相続人が遠方の場合は、同じ内容の協議書を人数分作って各自が署名押印する方法や、持ち回りで順に押印する方法があります。
令和5年からの「10年ルール」と遺留分の期限
遺産分割そのものに法律上の期限はありません。しかし令和5年4月1日から、相続開始から10年を過ぎると、原則として「特別受益」(生前に多くもらった人の分を差し引く)や「寄与分」(介護などで貢献した人の分を上乗せする)の主張ができなくなり、法定相続分で分けることになりました(民法904条の3。改正の解説は法務省の特設ページ)。「そのうち話し合おう」が長引くと、公平な調整の手段を失います。
遺言で自分の取り分が侵害された相続人が金銭を請求する「遺留分侵害額請求」は、相続の開始と遺留分の侵害を知った時から1年以内に意思表示しなければ時効になります(民法1048条)。この請求は内容証明郵便で行うのが確実です。
相続税とのつながり、まとまらないとき
相続税の「配偶者の税額軽減」(第10段階)と「小規模宅地等の特例」は、申告期限(10か月)までに分割が決まった財産にしか使えません。まとまらない場合は、いったん法定相続分で分けたものとして税額を納め、「申告期限後3年以内の分割見込書」を添えて申告し、分割が決まったときに更正の請求で取り戻す方法があります。この段取りを知らずに10か月を過ぎると、数百万円単位で納税額が変わることがあります。
話し合いがまとまらないときは、東京家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てます。調停委員を交えた話し合いで、合意できれば調停調書が協議書の代わりになります。調停が不成立なら審判に移り、裁判所が分け方を決めます。当事務所は税務・書類作成の立場で関わり、争いのある案件は弁護士と連携します。
この段階で使う板橋区の窓口
板橋区板橋2-66-1 区役所1階 1番窓口の前
区役所で必要な手続きをまとめて案内してもらえる予約制の窓口です。月〜金(祝日除く)1日4組。予約は戸籍住民課専用電話 03-3579-2427(午前9時〜午後4時)へ、希望日の3日前までに。「おくやみハンドブック」もここで配布しています。
この段階で当事務所ができること
- 遺産分割協議書の作成(行政書士業務)。不動産・預貯金の記載を登記・金融機関の要件に合わせます
- 分け方ごとの相続税の試算(配偶者の税額軽減・小規模宅地等の特例が最も活きる分け方の比較)
- 二次相続(配偶者が亡くなったときの相続)まで見た分け方のご提案
税理士と行政書士を兼ねているため、税務と書類作成を一つの窓口で進められます。 相続のご相談は土日祝日を問わず、東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県のご自宅へ訪問しています。 事務所は東武東上線「大山」駅から徒歩1分、板橋税務署と同じ大山東町です。 相続税申告の報酬の目安は料金ページに掲載しています。
よくあるご質問
配偶者が全部相続すれば相続税がかからないと聞きました。それでよいですか?
配偶者は1億6,000万円または法定相続分までは相続税がかかりません。ただし、その配偶者が亡くなる二次相続では配偶者の税額軽減が使えず、相続人も1人減って基礎控除が下がるため、一次・二次の合計では税額が増えることがよくあります。一次相続で子にも一定額を渡したほうが合計で有利になるケースが多く、試算して決めることをお勧めします。
協議書を作った後に別の預金が見つかりました。
協議書に「本協議書に記載のない財産は○○が取得する」といった条項があればそれに従います。なければ、その財産について改めて協議が必要です。相続税の申告後なら修正申告も必要になります。当事務所の協議書には、後日判明した財産の扱いを必ず入れています。
出典・根拠: 国税庁 タックスアンサー No.4208「相続財産が分割されていないときの申告」 /国税庁 タックスアンサー No.4158「配偶者の税額の軽減」 /民法(e-Gov法令検索)第904条の3・第1048条 /東京家庭裁判所
板橋区の相続手続き 全10段階
- 1. 亡くなった直後にする板橋区役所の手続き
- 2. 遺言書があるかを確認する
- 3. 戸籍を集めて相続人を確定する
- 4. 財産と借金をもれなく調べる
- 5. 相続放棄・限定承認を3か月以内に判断する
- 6. 亡くなった方の所得税を4か月以内に申告する(準確定申告)
- 7. 遺産分割協議をして協議書を作る(このページ)
- 8. 預貯金・不動産・車の名義を変える
- 9. 相続税がかかるかを判定する
- 10. 相続税を10か月以内に申告・納付する
どの段階からでも、ご相談ください
初回のご相談は無料です。土日祝日を問わず、ご自宅へ訪問します。