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【令和8年10月施行】「カスハラ」「求職者セクハラ」対策が義務化|全事業主がすべき準備

令和8年10月1日から、「カスハラ(カスタマーハラスメント)」と「求職者セクハラ」の防止措置が、すべての事業主の義務になります。改正労働施策総合推進法および改正男女雇用機会均等法の施行によるもので、業種も従業員数も問いません。「うちは小さい会社だから」という例外はありません。

施行までに残された時間はわずかです。何を準備すればよいのか、ポイントを整理します。

※本記事は令和8年8月12日現在の公表情報をもとに作成しています。労務の個別具体的なご相談は、提携の社会保険労務士と連携して対応いたします。

1. まず結論:何がどう変わるのか

これまで事業主には、セクハラ・パワハラ・マタハラの防止措置が義務づけられてきました。ここに、令和8年10月1日から次の2つが加わります。

追加される義務誰を守るためのものか根拠となる法律
カスハラ対策いま働いている従業員改正労働施策総合推進法
求職者セクハラ対策これから入るかもしれない求職者改正男女雇用機会均等法

いわば「現在の従業員」と「未来の従業員」の両方を守るための法改正です。

根拠となる法令等は次のとおりです。

区分内容
改正法労働施策総合推進法等の改正法(令和7年法律第63号/令和7年6月11日公布)
カスハラの指針令和8年厚生労働省告示第51号(令和8年2月26日公布)
求職者セクハラの指針令和8年厚生労働省告示第52号
施行日令和8年10月1日(企業規模による猶予はありません)

パワハラ防止措置が義務化されたときは、中小企業に約2年の猶予期間が設けられました。しかし今回の2つの義務には、規模による猶予期間がありません。従業員が1人でもいれば、10月1日から対象です。

カスハラ対策の義務化までの流れ 令和7年4月1日に東京都のカスタマー・ハラスメント防止条例が施行され、令和7年6月11日に改正法が公布、令和8年2月26日に指針が公布され、令和8年10月1日から全事業主の義務になる流れを示した時間軸の図です。現在は令和8年8月で、施行まで約1か月半です。 令和8年10月1日から全事業主の義務(規模による猶予なし) 令和7年4月1日 東京都条例 施行 令和7年6月11日 改正法 公布 令和8年2月26日 指針(告示)公布 令和8年10月1日 義務化スタート 今 令和8年8月 施行まで約1か月半
図1:義務化までの流れ。東京都では令和7年4月から条例が先行しています。

2. 数字で見る「なぜ今、義務化されるのか」

厚生労働省の委託調査(令和5年度「職場のハラスメントに関する実態調査」)では、次のような結果が公表されています。

調査項目割合
過去3年間にパワハラを受けた労働者19.3%
過去3年間に顧客等からの著しい迷惑行為(カスハラ)を受けた労働者10.8%
過去3年間にセクハラを受けた労働者6.3%
過去3年間にカスハラの相談があった企業27.9%

就職活動中のセクハラについても、深刻な数字が出ています。

調査項目割合
インターンシップ中に就活セクハラを受けた経験30.1%
インターンシップ以外の就職活動中(面接・説明会・OB/OG訪問等)に受けた経験31.9%

就職活動をした人の約3人に1人が、なんらかのセクハラを経験しているという結果です。なお、この調査では男性の経験割合が女性を上回っており(インターンシップ中:男性32.4%、女性27.5%)、「若手社員が就活生を食事に誘う」といった場面も含め、性別を問わない問題として捉える必要があります。

ハラスメントを受けた人の割合 過去3年間に働いている人が受けた割合は、パワハラ19.3パーセント、顧客等からの著しい迷惑行為10.8パーセント、セクハラ6.3パーセントです。就職活動をした人では、インターンシップ中30.1パーセント、それ以外の就職活動中31.9パーセントで、働いている人より高い割合になっています。 0% 10% 20% 30% 40% 働いている人が過去3年間に受けた割合 パワハラ 19.3% カスハラ 10.8% セクハラ 6.3% 就職活動をした人が受けた割合 インターン中 30.1% その他の就活中 31.9% 出典:厚生労働省 令和5年度「職場のハラスメントに関する実態調査」
図2:就職活動中の被害割合は、働いている人が受けたカスハラの約3倍です。

この調査で見落とせないのが、被害を受けた際の志望先の規模です。

就活セクハラを受けた際の志望先の従業員規模割合
インターンシップ中:99人以下の企業37.7%(最多)
インターンシップ以外の就職活動中:99人以下の企業35.3%(最多)

つまり、就活セクハラは大企業よりも小規模な会社で多く起きているという結果です。「うちは人数が少ないから目が届いている」という感覚とは、逆の数字が出ています。

カスハラについても、業種によって差があります。同じ調査では、接客の頻度が高いほど経験割合が高く、業種別では「生活関連サービス業、娯楽業」16.6%、「卸売業、小売業」16.0%、「宿泊業、飲食サービス業」16.0%の順に高くなっています。

3. 東京都の事業者は、すでに条例の対象になっています

板橋区で事業を営む場合、すでに東京都の条例による要請を受けている点に注意が必要です。

東京都カスタマー・ハラスメント防止条例今回の法改正(労働施策総合推進法)
施行令和7年4月1日令和8年10月1日
位置づけ事業者の責務(理念・努力義務が中心)事業主の措置義務
罰則定めなし刑事罰は定めなし(行政指導・公表の対象)
特徴顧客等・就業者・事業者それぞれの責務を規定。ガイドライン(指針)で行為類型を例示指針で「講ずべき措置」を具体的に列挙

都条例で「取り組みましょう」と示されていた内容が、今回の法改正で「やらなければならないこと」に格上げされたという整理になります。都条例に沿って対応を進めてきた事業者にとっては、その延長線上で整備できるはずです。

4. そもそも「カスハラ」とは

改正法により、カスハラの定義が明確になりました。次の3つの要素をすべて満たすものがカスハラです。

  1. 顧客や取引先等の言動であること(今後、商品やサービスを購入・利用する可能性がある人も含みます)
  2. 社会通念上、許容される範囲を超えた言動や手段・態様であること(暴言、土下座の強要、執拗な連絡など)
  3. 従業員の就業環境が害されるものであること(身体的・精神的な苦痛が与えられ、能力の発揮に悪影響が生じること)

対面だけでなく、電話やSNSを通じて行われるものも含まれます

カスハラの3つの要素 顧客等の言動であること、社会通念上許容される範囲を超えていること、従業員の就業環境が害されること。この3つをすべて満たすとカスハラに該当し、1つでも欠ければ該当しないことを示した図です。 1 顧客・取引先などの言動 電話やSNSを通じたものも含む かつ 2 社会通念上、許容範囲を超えた 暴言、土下座の強要、執拗な連絡など かつ 3 従業員の就業環境が害される 身体的・精神的な苦痛が生じる 3つすべて満たすと カスハラに該当 1つでも欠ければ該当しません。 正当なご意見・ご要望は別です。
図3:カスハラは3つの要素をすべて満たすもの。回数の基準ではありません。

カスハラに当たりやすい行為の類型

東京都のガイドラインでは、代表的な行為類型が例示されています。実務では、この一覧を「自社の現場で起こり得るもの」に絞り込んで従業員に示すと伝わりやすくなります。

類型具体例
身体的な攻撃物を投げつける、殴る、唾を吐く
精神的な攻撃人格の否定、危害を示唆する言動、侮辱
威圧的な言動大声を出す、睨みつける、揚げ足を取る
土下座の強要謝罪の手段として土下座を求める
執拗な言動長時間の叱責、同じ内容の電話を何度もかける
拘束的な行動長時間の居座り、長時間の電話
差別的・性的な言動人種・職業等への侮辱、わいせつな言動
個人への攻撃容姿への中傷、従業員個人を特定したSNS投稿
過度な金銭補償の要求社会通念上、著しく高額な補償の要求
実現不可能な要求提供していないサービスの強要、抽象的な要求の繰り返し

なお、1回だけの言動でも、強い身体的・精神的苦痛を与える態様であればカスハラに当たり得るとされています。「何回言われたら」という回数基準ではありません。

「正当な意見・要望」とは区別されます

お客様からのクレームがすべてカスハラになるわけではありません。正当な意見や要望は、カスハラには当たりません。判断は「要求の内容」と「要求の手段・態様」の2つの軸で考えると整理しやすくなります。

手段・態様が妥当手段・態様が社会通念上不相当
要求内容が妥当正当なクレーム(誠実に対応する)カスハラに該当し得る(例:欠陥品の交換を求めて1時間怒鳴り続ける)
要求内容が不当カスハラに該当し得る(例:穏やかな口調で、提供していない値引きを繰り返し求める)カスハラに該当し得る(例:SNSでの拡散をほのめかして高額な金銭を要求する)

つまり、言い方が丁寧でも要求内容が不当ならカスハラになり得ますし、要求内容が正しくても手段が行き過ぎればカスハラになり得ます。「クレームか、カスハラか」の線引きを現場の従業員一人の判断に委ねないことが、対策の出発点になります。

5. カスハラ対策として求められる措置

指針では、大きく次の5つの柱が示されています(指針ではこれらをさらに細かい項目に分けて示しています)。

1. 事業主の方針等の明確化と周知・啓発

  • 「カスハラには毅然とした態度で対応する」「従業員を守る」という方針を定め、従業員に周知・啓発する
  • 何がカスハラに該当するか、その内容にどう対応するかを定めて従業員に周知する

2. 相談体制の整備

  • 相談窓口(担当者)をあらかじめ定めて従業員に周知する
  • 担当者が適切に対応できるようにする

3. 事後の迅速かつ適切な対応

  • 事実関係を迅速かつ正確に確認する
  • 被害を受けた従業員に配慮した措置をとる
  • 再発防止に向けた措置をとる

4. 抑止のための措置

  • 特に悪質と考えられるカスハラへの対応方針・マニュアル等を作成し、従業員に周知する
  • 具体的には、警告文の発出、出入りのお断り、契約の解除、警察や弁護士との連携といった対応をあらかじめ決めておくことが挙げられています
  • 悪質な行為に組織として毅然と対処できる体制を整える(担当者一人に背負わせない)

5. プライバシーの保護、不利益取扱いの禁止

  • 相談者等のプライバシーを保護する措置を講じ、従業員に周知する(性的指向・性自認などの機微な情報も対象です)
  • 相談したこと等を理由に、解雇等の不利益を被ることがない旨を従業員に周知する

派遣社員を受け入れている場合は要注意

派遣先も「派遣労働者を雇用する事業主」とみなされます。そのため、受け入れている派遣社員についても、自社の従業員と同じようにカスハラ防止措置を講じる義務を負います。また、派遣社員がカスハラの相談をしたことを理由に、派遣の受け入れを断るといった不利益な取扱いも禁止されます。

「雇用契約がないから対象外」と考えてしまいやすい部分ですので、派遣を活用している事業者はご注意ください。

「望ましい取組」とされている点

義務ではないものの、指針では自社の従業員以外への配慮も望ましい取組として示されています。具体的には次のような内容です。

  • 方針を示すときに、取引先の従業員やフリーランスなど他社の人に対してもカスハラを行ってはならない旨を併せて示すこと
  • 自社の従業員が他社の人にカスハラを行ったと確認された場合、就業規則等に基づいて厳正に対処すること
  • 自社の職場で働く他社の人から相談があった場合、必要に応じて適切に対応するよう努めること

「10.」で触れる「自社が加害者になっていないか」という視点と重なる部分です。

6. 「求職者セクハラ」とは

採用活動の場において、自社の従業員が求職者に対して行うセクハラです。面接の場だけでなく、SNS上のやりとりやオンライン面接も含まれます

守るべき対象(「求職者等」)の範囲は、思っているより広く設定されています。

対象に含まれる人場面の例
求人に応募した求職者採用面接、選考連絡
就職説明会の参加者会社説明会、合同説明会
インターンシップの参加者就業体験、ワークショップ
OB・OG訪問をした学生社員個人との面談、会食
教育実習・看護実習等の実習生実習の受入れ
外国人材技能実習・特定技能・育成就労等の採用活動

一方で、授業の一環としての社会科見学や、企業を招いた講演会など専ら教育目的の行事に参加する人は含まれないとされています。「採用につながる接点かどうか」が線引きの目安になります。

求職者セクハラの対象となる場面 会社説明会、インターンシップ、OB・OG訪問、採用面接、内定の連絡まで、採用活動の全区間が対象になります。オンライン面接やSNSでのやりとりも含まれ、実習生や外国人材の採用も対象です。相談窓口は求職者にも周知する必要があります。 採用活動のどの場面で起きても対象になります 会社説明会 インターンシップ OB・OG訪問 採用面接 オンライン含む 内定の連絡 この全区間が対象(SNSでのやりとりも含む) 実習の受入れも対象 教育実習・看護実習などの実習生 外国人材の採用も対象 技能実習・特定技能・育成就労など 相談窓口は「求職者にも」周知が必要(募集要項・採用ページへ記載)
図4:求職者セクハラは、説明会から内定連絡までの全区間が対象になります。

具体例としては、次のようなものが挙げられています。

  • 「彼氏(彼女)はいるの?」など、プライベートな質問をする
  • 「内定を出すから」と、夜の食事や飲み会に執拗に誘う
  • 求職者のSNSアカウントを突き止め、個人的な内容のDMを送る

採用担当者が悪気なく発した一言が該当し得るため、「聞いてよいこと・いけないこと」を明文化しておくことが重要です。とくに、OB・OG訪問や若手社員によるリクルーター活動は会社の目が届きにくいため、ルールを決めて伝えておく必要があります。

7. 求職者セクハラ対策として求められる措置

1. 事業主の方針等の明確化と周知

  • 求職者セクハラを禁止し、行為者には厳正に対処する旨を従業員に周知する
  • 採用活動におけるルールを策定し、従業員に周知する(面談の時間・場所の指定、1対1での飲食の禁止、連絡に使うSNSの限定など)

2. 相談体制の整備

  • 相談窓口(担当者)をあらかじめ定め、求職者等に周知する(募集要項などで示す)
  • 担当者が適切に対応できるようにする

3. 事後の迅速かつ適切な対応

  • 事実関係を迅速かつ正確に確認し、行為者に対する措置を講じる
  • 被害者に配慮した措置をとる
  • 再発防止に向けた措置をとる

4. プライバシーの保護、不利益取扱いの禁止

  • 相談者のプライバシー保護のための措置をとる
  • 事実関係の確認に協力した従業員が不利益を被ることがない旨を周知する

なお、カスハラ対策では相談窓口の周知先が「従業員」ですが、求職者セクハラ対策では「求職者等」にも周知が必要です。募集要項や採用ページ、求人票の見直しが必要になる点に注意してください。

8. 対応しないとどうなるか(3つのリスク)

対策の有無で分かれる結果 カスハラが起きたとき、対策をしていない場合は行政の指導や企業名の公表、労災認定、安全配慮義務違反による損害賠償のリスクがあります。ルールを整備して運用している場合は、従業員を守れるうえ、裁判で会社の責任が否定された例もあります。分かれ目は具体的なルールと実際の運用です。 カスハラが起きたとき 対策をしていない場合 行政の指導・勧告、企業名の公表 労災として認定されることがある 労災の認定基準に明記されている 安全配慮義務違反で損害賠償 整備して運用している場合 従業員を守り、離職を防げる 裁判で会社の責任が否定された例 東京高裁 令和4年11月22日判決 採用や定着の面でも効いてくる 分かれ目は「具体的なルール」と「実際の運用」
図5:同じ出来事でも、事前の備えの有無で結果が分かれます。

① 行政からの指導・企業名の公表

今回の義務違反そのものに対して刑事罰(懲役・罰金)は定められていません。ただし、事業主は厚生労働大臣による報告の徴収、助言・指導・勧告の対象となり、勧告に従わない場合には企業名を公表されることがあるとされています。採用活動に与える影響は小さくありません。

なお、報告を求められたのに応じない場合や、虚偽の報告をした場合には、20万円以下の過料の定めがあります(過料は刑罰ではない金銭的な制裁です)。

② 労災(労働災害)として認定されるリスク

精神障害の労災認定基準は令和5年9月1日付で改正され、心理的負荷の評価表に**「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」という出来事が明記**されました。カスハラを放置して従業員が心身を損なった場合、労災として扱われる可能性があります。

③ 安全配慮義務違反による損害賠償

会社は従業員に対して安全配慮義務を負っています。カスハラへの対応を放置した結果、従業員が損害賠償を請求するケースも想定されます。

9. 「対策していたこと」が会社を守った裁判例

対策の整備は、従業員のためだけではありません。会社自身を守ることにもつながります。

東京高裁令和4年11月22日判決では、カスハラの被害を受けた従業員が、雇用主である会社に対して「安全配慮義務違反」を訴え、損害賠償を請求しました。しかし裁判所は、会社側がとるべきカスハラ対策をしっかり行っていたため安全配慮義務違反はなく、損害賠償責任も負わないとして、従業員の請求を棄却しました。

この事案は、コールセンター業務で顧客から執拗な暴言等を繰り返し受けたというものでした。会社側は、次のような備えを整えていた点が評価されています。

  • 電話応対のマニュアルをあらかじめ作成し、従業員に周知していた
  • 対応が難しい相手は上司へ転送・引き継ぎできる体制があり、実際に機能していた
  • 従業員を一人で対応させない仕組みになっていた

つまり、**「具体性のあるルールを整備し、実際に運用していること」**が重要だということです。方針を紙に書いただけで運用されていなければ、会社を守る材料にはなりません。記録を残す習慣(いつ・誰が・どのような対応をしたか)まで含めて整えておくことをおすすめします。

10. 見落としがちな視点:自社が「加害者」になっていないか

カスハラは被害者側の視点で語られがちですが、誰もが加害者になり得るという側面もあります。

カスハラの加害者本人に対する罰則規定はありませんが、悪質なカスハラと判断された場合は、刑事罰や民事上の損害賠償責任を問われる可能性があります。

自社が仕入先や外注先に対して「顧客」の立場にあるとき、その言動は適切でしょうか。納期や価格の交渉が、いつのまにか一方的な要求になっていないでしょうか。従業員向けの研修では、「守られる側」と「してはいけない側」の両面を扱うことをおすすめします。

11. 施行日までの準備の進め方

残り時間から逆算すると、次のような進め方が現実的です。

時期やること
8月中方針(1枚)の作成、相談窓口の担当者決定、現場で実際に起きているカスハラ事例の洗い出し
9月中就業規則・服務規律の見直し、対応マニュアル(想定問答・引き継ぎの基準)の作成、採用活動ルールの策定、募集要項・採用ページの窓口記載
10月1日まで従業員への周知(朝礼・書面配布・研修)、相談記録の様式を準備

なお、就業規則にカスハラ専用の条項を新設することが一律に義務づけられているわけではありません。ただし、「相談したことを理由に不利益な取扱いをしない」旨は”定めて”周知することが求められるため、その定めを置く場所として就業規則が使われるのが一般的です。自社の従業員が他社の人にカスハラを行った場合の懲戒を既存の規定で対応できない場合も、見直しが必要になります。

着手チェックリスト

  • カスハラに毅然と対応する旨の方針文書をつくった
  • 何がカスハラに当たるか、自社の具体例を示した
  • 相談窓口(担当者)を決め、従業員に周知した
  • 悪質な事案の対応マニュアル(誰に、どの段階で引き継ぐか)を決めた
  • 相談したことで不利益を受けない旨を周知した
  • 就業規則・服務規律にカスハラの条項を反映した
  • 採用活動のルール(面談の場所・時間、1対1の飲食、SNS利用)を決めた
  • 募集要項・採用ページに相談窓口を記載した
  • 相談・対応の記録様式を用意した
  • 派遣社員を受け入れている場合、自社の従業員と同じ対象に含めた

これらの措置を怠ると、従業員のメンタル不調や離職を招くだけでなく、「ブラック企業」との評判が広まるおそれもあります。採用が難しい時代だからこそ、先回りしての整備が効いてきます。

まとめ

  • 令和8年10月1日から、カスハラ対策求職者セクハラ対策が全事業主の義務になる
  • 業種・規模を問わず対象で、中小企業への猶予期間はない
  • カスハラは3要素をすべて満たすもの。「要求内容」と「手段・態様」の2軸で判断する
  • 必要なのは「方針の明確化」「相談体制」「事後対応」「抑止措置」「プライバシー保護」
  • 受け入れている派遣社員も、自社の従業員と同じように対象になる
  • 求職者セクハラでは、インターン・OB訪問・実習生・外国人材まで対象。相談窓口は求職者にも周知が必要
  • 就活セクハラの被害は99人以下の企業が最多。小規模だから安心という数字ではない
  • 違反に刑事罰はないが、指導・企業名公表・労災・損害賠償というリスクがある
  • 具体的なルールを定め、実際に運用していることが、従業員と会社の両方を守る

ご参考(令和8年8月12日現在)

就業規則や社内規程の整備、募集要項の見直しなど、施行に向けた準備でお困りのことがあれば、板橋区・大山の当事務所までご相談ください。内容に応じて、提携の社会保険労務士とも連携してお手伝いします。

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