資本金・決算月・役員報酬の決め方で税金が変わる|会社設立前に知りたい3つの数字
会社設立の書類には、**あとから簡単には変えられない「数字」**がいくつも登場します。代表的なのが、資本金・決算月(事業年度)・役員報酬の3つです。
この3つは登記や定款の形式的な項目に見えますが、実は消費税・法人税・社会保険料に直結する「税務設計」の入口です。設立してから「こうしておけばよかった」となりやすいポイントを、板橋区大山の税理士がまとめます。
※ この連載は「板橋区で会社をつくる」シリーズの第3回です。第1回:設立の流れ、第2回:株式会社と合同会社の選び方もご覧ください。
1. 資本金:「1,000万円」と「1円」の間で考える
資本金は1円でも会社を設立できますが、金額によって税金の扱いが変わります。
| 資本金 | 何が起きるか |
|---|---|
| 1,000万円以上 | 設立1期目から消費税の課税事業者になる |
| 1,000万円未満 | 設立当初の消費税が免除される場合がある(下記参照) |
| 極端に少ない(数万円など) | 税金より先に、融資や取引先の与信で不利になりやすい |
消費税の免税とインボイスの関係
資本金1,000万円未満で設立すると、原則として設立1期目・2期目は消費税の納税義務が免除されます(1期目上半期の売上・給与の状況などによる例外があります)。
ただし現在は、取引先が事業者中心の場合、インボイス(適格請求書)の登録を求められて課税事業者になるケースが多くなっています。その場合でも、免税事業者からインボイス登録した会社には、納める消費税を売上にかかる消費税の2割に抑えられる「2割特例」という経過措置があります。
この2割特例は、法人については令和8年(2026年)9月30日を含む事業年度で終了します。令和8年度税制改正で、その後の令和9年分・令和10年分を対象とする「3割特例」(納付税額を売上税額の3割とする措置)が設けられましたが、こちらは個人事業者のみが対象で、法人は対象外とされています。これから設立する法人では、設立時期と事業年度の取り方によって2割特例を使える期間が変わるため、事前の確認が必要です。
このあたりは設立のタイミングと事業年度の設計で結果が変わるため、当事務所では設立前のシミュレーションをおすすめしています。
与信の目安
創業融資では「自己資金をどれだけ事業に投じたか」が見られます。資本金は、当面の運転資金数か月分を目安に、見栄えではなく実際に使う資金として設定するのが健全です。
2. 決算月:「なんとなく3月」はもったいない
決算月は自由に決められます。考える軸は3つです。
| 軸 | 考え方 |
|---|---|
| 繁忙期を避ける | 決算作業と本業の繁忙期が重なると負担が大きい。繁忙期の2〜3か月後などにずらす |
| 免税期間を長くする | 設立日から最初の決算日までが第1期。設立直後に決算が来る設定にすると、免税や優遇の「1期目」を数か月で使い切ってしまうため、第1期はなるべく長く取るのが基本 |
| 資金繰り | 法人税等の納付は決算日から2か月後。納税月と賞与月・納税の多い月が重ならないようにする |
たとえば8月に設立するなら、翌年7月決算にすれば第1期が約12か月になります。逆に「みんな3月だから」と3月決算にすると、第1期が7か月ほどで終わってしまいます。
3. 役員報酬:設立から3か月以内に決める。期中に変えると損金にならない部分が出る
役員報酬(社長の給料)には法人税法上の強いルールがあります。
- 損金(経費)にするための原則は、毎月同じ額を支払うこと(定期同額給与)
- 金額の決定・変更は、事業年度開始から3か月以内(設立1期目は設立から3か月以内が目安)
- 期中の増減自体が禁止されているわけではありません(会社法上は株主総会の決議等があれば変更できます)。ただし税務上は、定期同額から外れた増減部分が損金と認められず、その分だけ法人税の負担が増えます
- 役員への賞与を損金にするには「事前確定届出給与」の届出を期限内に出す必要があります
金額はどう決める?
役員報酬を高くすると会社の利益(法人税)は減りますが、個人の所得税・住民税と社会保険料が増えます。逆に低くしすぎると、生活資金が足りず会社からの貸し借りが発生し、決算書が汚れて融資に響きます。
- 1年目は事業計画の利益予測から逆算して控えめに設定し、2期目以降に調整するのが定石です
- 法人と個人の税負担・社会保険料を合計した「手取りの最大化」は、シミュレーションで比較できます
3つの数字は「セット」で決める
資本金・決算月・役員報酬は、それぞれ独立した項目ではなく、消費税の免税期間 → 第1期の長さ → 利益予測 → 役員報酬という一本の線でつながっています。設立書類を作る前の段階でこの線を設計しておくと、設立後の税負担と資金繰りが大きく変わります。
当事務所では、設立前のご相談で「資本金・決算月・役員報酬」のシミュレーションを行ったうえで、定款・登記書類の作成(行政書士業務)から設立後の届出・税務顧問まで一貫してサポートしています。板橋区・大山で起業をお考えの方は、無料相談をご利用ください。