早期経営改善計画
早期経営改善計画とは
支援事業の背景:
新型コロナウイルス感染症やその他の問題により、多くの中小企業が売上減少や借入増大といった経営課題に直面しています。これらの企業が資金繰りの安定を図りながら本源的な収益力の改善に取り組むことが求められており、認定経営革新等支援機関が支援を行います。具体的には、経営改善計画の策定や金融機関への提出を通じて、早期の経営改善を促進します。
支援事業の概要:早期経営改善計画策定支援事業
この事業は、基本的な経営改善に取り組む中小企業が、国が認定した専門家(税理士など)の支援を受けて経営改善計画を策定する際、費用の2/3を補助することで、早期の経営改善を促します。経営改善計画には、資金繰り計画やビジネスモデル俯瞰図、アクションプランなどが含まれます。
ただし、本事業は自己の経営を見直すことを目的としており、過去に利用した事業者は対象外です。ただし、令和4年度及び令和5年度に限り、新型コロナウイルス感染症、ウクライナ情勢、原油価格の高騰等によって影響を受け業況が悪化した事業者は、2回目の利用が認められています。
事例1
即席めん類製造業の企業
概要:
即席めん類製造業の企業が、小ロット向きの機械を保有しており、大量生産の受注があると作業効率が低下する問題に悩んでいました。さらに、追加の設備投資をしたいものの、手元資金が不足し資金調達が困難な状況でした。
経営改善計画の主な内容:
経営戦略の見直し
アクションプランの策定
営業活動内容の社内共有の方策
計数・借入金返済計画
結果:
自社の強み(小ロット生産が可能)を再認識し、オリジナル商品や販促品の製作など、少量生産を希望する先の新規開拓に活路を見出しました。
新規取引先を10社獲得し、売上・利益ともに増加。設備稼働率も向上しました。
自社の強みややるべきことが明確になり、従業員とビジョンを共有でき、意欲向上につながりました。
銀行から金融支援(債務の一本化)を受け、返済負担が軽減されました。
この事例では、経営改善計画策定支援事業を活用することで、企業が自社の強みを再認識し、新たな戦略を立てることができました。また、資金調達や営業活動の改善により、売上や利益の向上が実現しました。これらの結果から、経営改善計画策定支援事業が中小企業の経営改善に効果的であることが分かります。
事例2
飲食業の企業
概要:
飲食業の企業が、品目を増やして売上を伸ばしたものの、利益につなげることができず、資金繰りが苦しくなりました。恒常的な運転資金不足と借入金の資金繰り調整の煩雑さ、および支払利息の負担が過大でした。
経営改善計画の主な内容:
経営戦略・営業戦略の見直し
高利益率品目の販売強化施策の実行
資金繰り管理の実施(税理士と連携)
計数・借入金返済計画
結果:
人件費以外のコスト削減の余地を見つけることができました。
売掛金・買掛金のズレの発生タイミングと原因が明らかになり、資金ショートの懸念が解消しました。
品目ごとの収益性を把握し、適切な価格設定の方法が分かりました。
収益性が改善し、長期借入金の返済に目処が立ち、資金繰りの懸念も解消しました。
税理士に資金繰り管理を支援してもらい、本業に専念できるようになりました。
銀行とのコミュニケーションが改善され、金融支援につながりました。
この事例では、経営改善計画策定支援事業を活用することで、企業が経営戦略や営業戦略を見直し、高利益率品目の販売強化や資金繰り管理の改善に成功しました。また、税理士と連携して資金繰り管理を行い、本業に専念できるようになったことが大きなメリットとなりました。これらの結果から、経営改善計画策定支援事業が中小企業の経営改善に効果的であることが分かります。
事例3
木材・竹材卸売業と木造建築工事業を手掛ける企業
概要:
木材・竹材卸売業と木造建築工事業を手掛ける企業が、顧問税理士の勧めで早期経営改善計画を策定することにしました。典型的な同族でのワンマン経営であった企業は、経営改善計画を通じて事業方針が明確になり、経営意識の向上や事業承継にも効果的なものになりました。
早期経営改善計画の主な内容:
経営課題の設定
アクションプランの策定
商品別売上・利益計画
計数・借入金返済計画
結果:
自社で請け負った住宅へのリフォーム需要を発掘することができました。
得意先の高齢化を認識し、待ちの営業から脱却することができました。
役員報酬や無駄な支出の見直しが行われました。
事業計画が銀行とのコミュニケーションツールとなり、取引の深耕に役立ちました。
今後の事業方針が明確になりました。
息子の経営意識が向上し、事業承継にも効果的なものになりました。
この事例では、早期経営改善計画策定支援事業を利用することで、企業が経営課題の設定やアクションプラン策定を通じて事業方針を明確にし、経営意識の向上や事業承継に効果的な結果を得ることができました。また、計画策定を通じて銀行とのコミュニケーションが改善され、取引の深耕に役立ったことも大きなメリットでした。
早期経営改善計画の策定に
取り組むべき理由
(まとめ)
早期経営改善計画に取り組む理由は以下の通りです。
経営課題の早期発見と対策
事業目標と方向性の明確化
資金繰りの安定化
金融機関との信頼関係構築
経営意識の向上と組織力強化
事業承継の円滑化
専門家との連携による適切な支援
以上、早期経営改善計画策定への取り組みは、中小企業の経営改善や事業発展に大きく貢献することが期待されます。